平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
言いながら、ニコラスが幼獣をぎゅっと両手で抱き締めた。幼獣はよく分かっていないのか、嬉しそうに尻尾を振って頬にすり寄る。

――この子がいるから、怖さを覚える。

リズは、ニコラスが呑み込んだ言葉が分かった気がした。彼は、心の底から幼獣を大切にして、そしてその身を何より案じているのだ。

「幼獣が、グレインベルトから外に出ることはない。しかしこいつは、俺から離れないんだ、そして王宮まで付いてきた」

「たびたび感じる視線というのは、どこでだ?」

「公務の出席のあとも、だった気がする。その時も、幼獣を胸に抱えていたんだ。本当に離れたがらなくて、俺もそれがとても可愛くってな。父上もみんな『いい』と言ってくださるから……でも、それを見たどこかの国の者だったりするのかなと、今になって気になったり……」

話していたニコラスが、ふと顔を上げてジェドを見た。

「気になると言えば、こいつも最近、ちょっと行動が違っていたりするんだ」

「ふうん。それは、どんな?」

「こう、いつも俺が抱え持っているんだが、それが大のお気に入りでな。エドモンドが面倒を見ようとしても腕から降りないから、公務にも連れ出しているわけだが。最近、他の人間がいるのに、足元で堂々と歩きたがる時もあって」

不意に、ぴくり、と僅かにジェドが反応する。

だが僅かな仕草だったので、話すニコラスも、彼のことを見ているリズも気づかなかった。

「歩きたがるのはいいことだけれど、俺としては、もし少しよそ見をしている間に奪われてしまったらと、心配にも思うんだ。抱っこしようとしても、その時は頑なに歩きたがって、世話のうまいエドモンドの言うこともきかない」
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