冷たい彼と新婚ごっこ♡
政略結婚……。たしかに、そういうことになるのかな。


じゃあ一条くんは親の会社のために、私との結婚を受け入れたってこと? この歳で?


せっかく結婚するなら好きな人としたいとか、そういう思いはないのかな?


私が呆気に取られていたら、次の瞬間一条くんがいきなり顔をじっと近づけてきて。


「それともなに、俺がお前のこと気に入ったとでも思ったの?」


「……っ」


そのあまりにも整った顔に、ドキッとして思わず息を飲む。


「言っとくけど、カタチだけの結婚だからな。俺に何も期待すんなよ」


そして、冷たくそう言い切った一条くん。


彼はそのまま背を向けると、スタスタと部屋の中へと戻っていく。


私はそれ以上何も言えないまま、その場に一人立ち尽くしていた。



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