冷たい彼と新婚ごっこ♡
すると、そこでまた思わぬことを言われて驚いた。


一条くんは、私と婚約したことをみんなに知られちゃってもいいんだ。


「わ、わかった。じゃあ、みんなに話してもいいの? 婚約のこと」


「うん。だって、毎日女子に待ち伏せされたり告られたりすんの面倒だし。お前と婚約してるって知ったら、さすがに寄ってこなくなるだろ」


「そっか……」


なるほど。つまりは、女よけになるからって意味だよね?


もしかして、一条くんが私との婚約OKしてくれたのって、女の子達に言い寄られないようにするためっていうのもあるのかな。


「ってなわけで、ヨロシク」


一条くんはそう告げるとポンと私の肩を叩いて、ソファーから立ち上がる。


私はあまりにもあっさりしている彼にそれ以上返す言葉が見つかれなかったけれど、だんだんとこの婚約が現実なんだということを実感し始めていた。



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