冷たい彼と新婚ごっこ♡
ドキドキしながら自分も隣に腰掛けたら、一条くんがまた声をかけてきた。


「あとさ、もう婚約決まったんだから、名前で呼べば?」


「……えっ。いいの?」


名前呼び? さっそく?


「まさかお前、俺の名前忘れたとか言わないよな」


「お、覚えてるよっ! 葉月くん、だよね?」


「そう」


「えっと、私は……」


そこで私が名乗ろうとしたら、葉月くんがそれに被せるように。


「梨華」


いきなり呼び捨てで呼ばれて、またドキッと心臓が飛び跳ねた。


「お、覚えててくれたの?」


「名前くらい覚えてるに決まってんだろ」


わぁ、まさか、私の下の名前まで覚えててくれたなんて、ちょっと嬉しい。


葉月くんは、私のことなんて全然興味ないと思ってたのに。


なんか急にちょっとだけ親しくなったような気になっちゃうな。



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