今、君に想いを伝えて、ここで君を抱きしめる
大きなため息をついて航志朗は安寿の肩を抱きながら別荘に戻った。恥ずかしがる安寿の手を引いて、航志朗は庭に設けられた屋外用シャワーブースの中に入った。そのまま一緒に熱いシャワーを浴びる。砂まみれになった安寿の髪を航志朗はシャワーで優しく洗い流した。安寿は胸をどきどきさせながらその心地よい感覚に目を閉じた。航志朗はショートパンツだけになって湯をしたたらせながら言った。
「バスタオルを取ってくるから、ここで待ってて」
航志朗が出て行くと安寿は肌にはりついたパジャマを脱いで裸になり、濡れたパジャマとパンツをしぼってブースにかけてからシャワーを浴びた。すぐに航志朗が着替えてバスタオルを持って戻って来た。遠慮なく航志朗は安寿の膝下の素足が見えるシャワーブースのドアを開けた。
両手で身体を隠して安寿は悲鳴をあげた。
「きゃあー!」
「わっ、ごめん!」と大声で言って、航志朗はあわててドアを閉めた。
ドアが少し開いて、中から安寿の手が突き出てきた。航志朗はその手にバスタオルを渡した。「ありがとうございます」と安寿の気分を害したような低い声が聞こえた。
先に別荘の中に戻りながら、航志朗は首をかしげた。
(どうして悲鳴をあげるんだ? 俺たちは夫婦なのに……)
安寿が着替えてLDKにやって来ると、航志朗が朝食の準備をしていた。ドライフルーツとナッツ入りのミューズリーにレンジで温めた豆乳とハチミツをかけて食べた。航志朗は湯を沸かして、自分のコーヒーと安寿のためのミルクティーを淹れた。牛乳がないので、ソイミルクティーだ。
食事が終わると航志朗は立ち上がって安寿を後ろから抱きしめた。振り返ってつい安寿は尋ねてしまった。
「航志朗さん、今日のお仕事は?」
「いっさいしない。君と休暇中だから。まあ、メールと米国株の動向はチェックするけど」
「あの、古閑家のお仕事は?」
「アカネさんが里帰りしてからだ」
「そうですか。今日は何をしますか? あっ、まずお買い物に行かなくちゃ」
「買い物はあとだ。そのまえに……」
きょとんとした顔で安寿は航志朗を見つめた。
「そのまえに?」
「こうするしかないだろ……」
航志朗は後ろから安寿のワンピースのボタンを外しながら安寿の首筋に口づけた。あわてて安寿は航志朗の手を押さえて言った。
「ちょっと、朝からですか!」
「朝も昼も夜も関係ない。休暇中なんだから」
ふたりはソファにもつれ込んだ。慣れない革張りのソファの匂いに安寿は顔をしかめた。Tシャツを脱いで上半身裸になった航志朗は、安寿のワンピースの上半分を脱がせてその身体に唇を這わせる。安寿はため息をもらしながら、航志朗の頭を胸に抱いた。ふと窓の外を見ると、澄み渡った水色の空が見える。ぼんやりと安寿は思った。
(きれいな空。あの空の色って、岩絵具だと何色なんだろう……)
「バスタオルを取ってくるから、ここで待ってて」
航志朗が出て行くと安寿は肌にはりついたパジャマを脱いで裸になり、濡れたパジャマとパンツをしぼってブースにかけてからシャワーを浴びた。すぐに航志朗が着替えてバスタオルを持って戻って来た。遠慮なく航志朗は安寿の膝下の素足が見えるシャワーブースのドアを開けた。
両手で身体を隠して安寿は悲鳴をあげた。
「きゃあー!」
「わっ、ごめん!」と大声で言って、航志朗はあわててドアを閉めた。
ドアが少し開いて、中から安寿の手が突き出てきた。航志朗はその手にバスタオルを渡した。「ありがとうございます」と安寿の気分を害したような低い声が聞こえた。
先に別荘の中に戻りながら、航志朗は首をかしげた。
(どうして悲鳴をあげるんだ? 俺たちは夫婦なのに……)
安寿が着替えてLDKにやって来ると、航志朗が朝食の準備をしていた。ドライフルーツとナッツ入りのミューズリーにレンジで温めた豆乳とハチミツをかけて食べた。航志朗は湯を沸かして、自分のコーヒーと安寿のためのミルクティーを淹れた。牛乳がないので、ソイミルクティーだ。
食事が終わると航志朗は立ち上がって安寿を後ろから抱きしめた。振り返ってつい安寿は尋ねてしまった。
「航志朗さん、今日のお仕事は?」
「いっさいしない。君と休暇中だから。まあ、メールと米国株の動向はチェックするけど」
「あの、古閑家のお仕事は?」
「アカネさんが里帰りしてからだ」
「そうですか。今日は何をしますか? あっ、まずお買い物に行かなくちゃ」
「買い物はあとだ。そのまえに……」
きょとんとした顔で安寿は航志朗を見つめた。
「そのまえに?」
「こうするしかないだろ……」
航志朗は後ろから安寿のワンピースのボタンを外しながら安寿の首筋に口づけた。あわてて安寿は航志朗の手を押さえて言った。
「ちょっと、朝からですか!」
「朝も昼も夜も関係ない。休暇中なんだから」
ふたりはソファにもつれ込んだ。慣れない革張りのソファの匂いに安寿は顔をしかめた。Tシャツを脱いで上半身裸になった航志朗は、安寿のワンピースの上半分を脱がせてその身体に唇を這わせる。安寿はため息をもらしながら、航志朗の頭を胸に抱いた。ふと窓の外を見ると、澄み渡った水色の空が見える。ぼんやりと安寿は思った。
(きれいな空。あの空の色って、岩絵具だと何色なんだろう……)