今、君に想いを伝えて、ここで君を抱きしめる
安寿が熊本に来て、もうすぐ三週間になる。今朝も日の出前に起きて水着に着替えようとしたら、安寿は下腹部の鈍痛に気づいた。すぐにトイレに行ってそれを確認すると、スーツケースの中から生理用ナプキンを取り出した。
パジャマのままで安寿がベッドルームに戻ってくると、すでにサーフパンツに着替えた航志朗がカーペットの上に仰向けになって、足をベッドのサイドフレームに引っ掛けて腹筋運動をしていた。何回も航志朗はリズムよく起き上がり、航志朗の引きしまった上半身の筋肉が力強くしなるのが見えた。感心した安寿は航志朗のそばにしゃがんで声をかけた。
「航志朗さん、すごい!」
少し照れながら航志朗は答えた。
「そうか? 俺は三十代が見えてきたから意識して身体を鍛えないとな。まだ二十代になったばかりの可愛い妻のためにも」
それを聞いた安寿は真っ赤になってうつむいた。
「ん? 安寿、まだ水着に着替えていないのか」
安寿はうつむいたまま小声で言った。
「ええと、あの、私、……生理がきたので」
「せ、生理だって……」
一瞬、航志朗は絶句した。
「だ、大丈夫なのか、安寿!」
あまりにも航志朗が動揺しているので、安寿は可笑しくなった。
「大丈夫に決まっているじゃないですか。自然なことなんですから」
「そ、そうだな……」
航志朗はにじり寄ると安寿の腰を温めるようにそっと手を置いてさすりながら、おずおずと尋ねた。
「お腹が痛くなったりしないのか、安寿? 俺は男だからぜんぜんわからないんだ」
(そんなの当たり前でしょ!)
吹き出しそうになるのを安寿はなんとか我慢して航志朗に説明した。
「多少はお腹が痛くなりますけれど、私は軽いほうだと思います。それよりも、ものすごく眠くなるんです、生理中って」
「そ、そうなんだ……」
狼狽した航志朗は額に手を当てて思考をめぐらせた。
(そうか、そうだよな。女性と三週間も一緒に過ごしていたら、こういう事態が起こるのは当然だよな。安寿の大切な身体だ。俺が大事にしてやらないとな)
安寿の身体を支えて航志朗はベッドに連れて行った。航志朗は妙に優しい声で安寿にささやいた。
「なんでも俺がするから、君はベッドに横になって一日中休んでいろ」
そう言うと航志朗は丁重にタオルケットで安寿をくるんだ。
「え?」
安寿は文字通り目が点になった。
「それからしばらく海には行けないな、身体を冷やすのはよくないだろうから」
「あの、航志朗さん……」
「食事も鍋とか温かいメニューがいいよな、お腹が痛むんだったら。真夏だけど」
せわしなくスマートフォンを繰って検索しながら、航志朗の頭のなかは生理中の安寿の世話のマニュアル作成でフル回転している。
眉間に深くしわを寄せた航志朗は腕を組んだ。
「んー、それから……」
困惑した安寿は大声で訴えた。
「航志朗さん、本当に大丈夫ですってば!」
パジャマのままで安寿がベッドルームに戻ってくると、すでにサーフパンツに着替えた航志朗がカーペットの上に仰向けになって、足をベッドのサイドフレームに引っ掛けて腹筋運動をしていた。何回も航志朗はリズムよく起き上がり、航志朗の引きしまった上半身の筋肉が力強くしなるのが見えた。感心した安寿は航志朗のそばにしゃがんで声をかけた。
「航志朗さん、すごい!」
少し照れながら航志朗は答えた。
「そうか? 俺は三十代が見えてきたから意識して身体を鍛えないとな。まだ二十代になったばかりの可愛い妻のためにも」
それを聞いた安寿は真っ赤になってうつむいた。
「ん? 安寿、まだ水着に着替えていないのか」
安寿はうつむいたまま小声で言った。
「ええと、あの、私、……生理がきたので」
「せ、生理だって……」
一瞬、航志朗は絶句した。
「だ、大丈夫なのか、安寿!」
あまりにも航志朗が動揺しているので、安寿は可笑しくなった。
「大丈夫に決まっているじゃないですか。自然なことなんですから」
「そ、そうだな……」
航志朗はにじり寄ると安寿の腰を温めるようにそっと手を置いてさすりながら、おずおずと尋ねた。
「お腹が痛くなったりしないのか、安寿? 俺は男だからぜんぜんわからないんだ」
(そんなの当たり前でしょ!)
吹き出しそうになるのを安寿はなんとか我慢して航志朗に説明した。
「多少はお腹が痛くなりますけれど、私は軽いほうだと思います。それよりも、ものすごく眠くなるんです、生理中って」
「そ、そうなんだ……」
狼狽した航志朗は額に手を当てて思考をめぐらせた。
(そうか、そうだよな。女性と三週間も一緒に過ごしていたら、こういう事態が起こるのは当然だよな。安寿の大切な身体だ。俺が大事にしてやらないとな)
安寿の身体を支えて航志朗はベッドに連れて行った。航志朗は妙に優しい声で安寿にささやいた。
「なんでも俺がするから、君はベッドに横になって一日中休んでいろ」
そう言うと航志朗は丁重にタオルケットで安寿をくるんだ。
「え?」
安寿は文字通り目が点になった。
「それからしばらく海には行けないな、身体を冷やすのはよくないだろうから」
「あの、航志朗さん……」
「食事も鍋とか温かいメニューがいいよな、お腹が痛むんだったら。真夏だけど」
せわしなくスマートフォンを繰って検索しながら、航志朗の頭のなかは生理中の安寿の世話のマニュアル作成でフル回転している。
眉間に深くしわを寄せた航志朗は腕を組んだ。
「んー、それから……」
困惑した安寿は大声で訴えた。
「航志朗さん、本当に大丈夫ですってば!」