黙って一緒に堕ちてろよ
至近距離で、ささやきが聞こえた。
とっさのことで抵抗することもできずに、そのまま私は、ぽすん、と、古茶くんの腕の中に収まる。
「……っ、!?な、なな、なに考えて」
「シッ。後ろ、あいつが見てるから」
「……え!」
『あいつ』
文脈からして、多分綾瀬さんのことだろう。
目ざといな。そんでついでに私を利用するのか。頭の回転がはやいというかなんというか。
……流されてしまう私も私だけど。
「しばらくこのままで」
「っ、〜〜!」
息づかいがわかるくらいの距離に、私はとっくにキャパオーバー。
あとで絶対文句言ってやる、と決心する。
古茶くんのペースになんか乗せられてやんないんだから……!