黙って一緒に堕ちてろよ
「────ねーぇ」
「ひっ」
突如、天敵の声がして、反射的に迎撃体制を整える。
他の人の声は平気なのに、最近、彼の声にだけ過剰反応してしまうから、……きっとよっぽど生理的に無理なんだと思う。たぶん。知らんけど。
「その反応は傷つくなぁ〜」
天敵──もとい古茶くんは、傷つく、なんて言いながらもちっともそんなふうには見えず。
優等生モードの爽やかな笑顔とは違う、むしろ最近では見慣れてきた黒い笑みを浮かべている。
「うそつけ。1ミリもそんなこと思っちゃいないくせに」
「え〜?俺だって傷つくよ?岩倉さんは俺が傷つかない人間に見えるの?」
「……あながち間違ってはないよね」
「え?今なんか言った?」
「ナンデモゴザイマセン」
微笑んだまま聞き返され、私は一瞬で退却。
ニコニコニコニコ。笑ってるけど目が笑ってないんだよ、この野郎。