黙って一緒に堕ちてろよ

「古茶くん〜!」


──ドンッ。


目の前にいた古茶くんが、外部からの衝撃によってふらついた。


古茶くんに勢いよく抱きついて、私たちの間に割って入ってきたのは、言わずもがな。


「なに?綾瀬」


古茶くんは、さっきの動揺をあっという間に仮面の下に隠して、爽やか120%の好青年に早変わり。誰もこいつをピアスバチボコのヤンキーだとは思いもしないんだろうな、と思った。


──私以外に彼の素顔を知ってる人はいるんだろうか。


不意に脳裏に浮かんだ、そんな疑問。次の瞬間には我に返って、雑念を消し去った。


こんなのは気の迷い、今の私は優等生。……よし。


古茶くんなんかに遅れを取らないように、私も『優等生』の顔をつくる。
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