黙って一緒に堕ちてろよ
「あっ」
購買からの帰り道──廊下を歩いているときに、正面に古茶くんの姿を発見した。
別に、古茶くんだけすぐに見つけたのは、意識していたからとか、そんなんではなくて。ただ、彼は目立つから。それだけ。
そして、古茶くんを見つけた瞬間に気持ちが晴れたのも、そういう下世話な理由ではない、断じて!うん!
私は、両手を組み、ぎゅっと握りしめて、古茶くんに向かって手を振ろうとした。久しぶりに綾瀬さんと一緒じゃないみたいだったから。
──でも、寸前でやめた。
よく見たら男友だちがふたり一緒だったので、私はとっさに柱の陰に隠れた。どうして、私はこうもタイミングが悪いんだろう。
手の行き場をなくした私は、そこでどうすることもできずに、仕方がないから立ち尽くす。