黙って一緒に堕ちてろよ
私は、だんだんと周りの音が遠ざかるのを感じていた。
やっぱり、周りから見ても、古茶くんは綾瀬さんと、なんだよな。まぁわかりきってたことだけど。
ていうか、うわさなんか気にするタイプでもないのに、なんで私は今こんなにショックを受けてるんだろう。おかしいな。おかしいよ。古茶くんと関わり始めてから、私なんだか変だ。
思い過ごしだよ、たぶん。考えすぎてるだけ。だって、私がそれを聞いてショックを受ける理由、ないじゃん。だから、気のせいなんだと、自分に言い聞かせた。
トモダチさんと別れた古茶くんが、私を見つけて。目が合って、駆け寄ってくる。
……タイミングが悪いんだよ、ほんとに。
「あれー、岩倉さん」
いつもの優等生の声色で、やっほー、と手を振って、あっけらかんとしているものだから。否が応でも自分と比べてしまう。