黙って一緒に堕ちてろよ
◆︎
「岩倉さん」
古茶くんが私を呼ぶ。
『優等生』の仮面をはりつけて。
「なに?」
私は、平然を装って、それに返す。
「さっき先生が呼んでたよ」
彼がそう微笑むから、私も、
「ありがとう」
と、『優等生』の顔で微笑み返す。
あれから私たちは、クラスメートのポーズをしている。
私たちの間にはなにもありませんでしたよ、いつも通り優等生ですよ〜っていう、ただのパフォーマンス。
へらへらへらへら、『私の嫌いな優等生の古茶くん』は笑う。
くだらない。こんなのには本当はなんの意味もないってことはわかっている。たぶん古茶くんも。
それでも必要だった。『以前の私』を思い出すために。
大丈夫。素の古茶くんを知ってから変わった私の生活が、それを知る前の私の生活に戻るだけ。