黙って一緒に堕ちてろよ
それは、教室では日常的に見られる光景で。
変わったのは、私と彼の距離だけ。
「岩倉さん、だって。……ふ、いい子ぶっちゃって。気持ち悪」
教室を出て扉を閉めた私は、ぽつりとそうつぶやいた。
心なしかさん付けもわざとらしく聞こえる。
心にたまった重いもの。吐き出しても軽くなんてならずに、うずいて余計に苦しくなる。
それなら、それならさ、
「いらないから、捨てちゃえ」
苦しいだけなら、いらないからさ。
面白くなくなったらもう用済みだからさ。
私は、彼との接点だった写真を、
彼から目を背けるように、
震える指で、消去した。