黙って一緒に堕ちてろよ
「……………………」
私は、かばんからスマホを取り出して。カメラを起動して、構えた。
ほら、人間ってスキャンダルとかゴシップとか、大好きでしょ。目立つ人とか、気に食わない奴とかの弱点、大好物でしょ。
私も決して例外じゃないんだよね。そういうの、大好き。大好きなんだよ。
たぶんそういう心理で、刹那的に、撮るしかないと思った。
おいしい場面に居合わせて、撮らない理由なんてない。撮らないなんてもったいない。
そう思って、気が急いて。……いつもなら絶対にしないミスを、やらかした。それが敗因だった。
──薄闇でたいてしまったフラッシュは、あちら側が私の存在に気がつくには十分すぎるほどで。
一瞬、スポットライトを浴びた彼は、ぐるりとこちらを振り向き。
フィルター越しに、ばっちりと。目が合ってしまった。