黙って一緒に堕ちてろよ
あー、すっきりした。もっと早くこうしていればよかった。
だって、もう必要ないんだもん。
自分を守るための鎧も盾も、いらなくなっちゃったんだもん。
あれだけ必死に守ってたのに、壊すのは一瞬。おかしいね。おかしさすらも愛おしい。
怒ったのか泣き出すのか、綾瀬さんは小刻みに震えている。
わがままお嬢サマにはきつかったかな?泣く?泣いちゃう?泣くなら教室を出てからにしてよね。
なんて思っていると。
──ドンッ。
「……消えた?」
衝突音と同時に綾瀬さんが視界から消える。
そして。
「い、岩倉さん、ひどいよ……!古茶くんのことが好きだから元カノの私に嫉妬して、私を殴るなんて!」
自ら尻もちをついた彼女は、教室のど真ん中で喚き散らし、クラスメートにそう吹聴しやがった。