黙って一緒に堕ちてろよ

「岩倉さんってあんな感じだったっけ……?」


「優等生のはずじゃ……」


『優等生』の変わり様に騒然とするクラスメート。黙ったと思ったら、またトモダチ同士でひそひそと喋り出すんだから、頭が悪いとしか思えない。


「聞こえてんだよ」


チッ。舌打ちを添えると、野次馬どもはピャッと背筋を伸ばして今度こそ黙り込む。そんなんなら最初から黙ってりゃいいのに。


「残念でしたー、優等生の私はもういません。てか最初からそんな奴はいませーん!」


私はその場でくるりと回る。校則丈の長いスカートがふわりと浮く。


「嫉妬?するわけないよ。むしろなに言ってんのって感じ」


「は……?意味わかんない。なに言って……」


「一から十まで説明しないとわかんない?しょうがないなー、理解が遅い愚かなあなたのために説明してあげる!つまり〜、」


私は綾瀬さんに向き直り、未だ困惑している彼女に向かってニコリと微笑み、大きく息を吸った。
< 128 / 156 >

この作品をシェア

pagetop