黙って一緒に堕ちてろよ

「投下〜」


古茶くんのそれを合図に、クラスメートのスマホの通知音が一斉に鳴り響く。


私も、ジャケットのポケットからスマホを取り出し、確認する。


それはメッセージアプリの通知だった。どうやらクラスのグループに送信したようだった。


容赦ないなぁ。そう考えると、結局写真をばらまかなかった私って優しい気がしてきた。


「綾瀬ちゃんと一緒にいるこいつ誰……!?」


「えーっ、これキスしてない!?マジ!?」


「由奈、古茶くんと付き合ってたんじゃないの!?」


「えー、つまり浮気?なんか幻滅……」


スマホを手に取るクラスメート、一気にざわめく教室内。


送られてきたそれは、クラスのマドンナのスキャンダル──私服姿の綾瀬さんと知らない男のツーショット、さらに言えばキスシーンだった。


うーわ、いつの間にこんな写真を。つくづく抜け目ない奴だ。


「な、なんでこんな写真……」


「だってなんか浮気されてるっぽかったから。泣き寝入りとかするつもり毛頭なかったし」


「い、いつから気づいてたの!?」


「逆に気がついてないとでも思った?俺を騙せるとでも?……舐めすぎでしょ」


古茶くんは、一瞬、悲痛な顔を見せて。それから、薄ら笑いを浮かべ、軽蔑を示した。
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