黙って一緒に堕ちてろよ
「っ、そ、それでも!仮にそれが本当だとしても、岩倉さんがなにもやってないって証明にはなんないじゃん!」
綾瀬さんが、苦し紛れにそんなことを言い出すものだから、思わず目をむいた。
案外しぶとい……というか図太いな。その話はさっきで終わったものだと認識していたんだけれども。
どうやら引き時がわからないらしい。化けの皮はがされてもまだやるか。せめて私たちも道連れにしようって寸法なのか。
ただじゃ堕ちない、か。まぁ立派な心がけだけど。私にしてみれば迷惑な話だ。
「えー、まだ言う?往生際悪くない?スパッと諦めたほうが身のためなんじゃないの」
「うるさい……!そうだ、証拠!ふたりが付き合ってるっていう証拠、ないでしょ。うそついてるかもしれないじゃない!」
「それ言う……?」
それ、この場ではそこまで重要じゃないのでは。なにがなんでも私たちを引きずり下ろす気か。
仮にそれを証明できなかったとしても、私は痛くもかゆくもないし、本性がバレた時点で私たちはすでに地の底まで堕ちている。