黙って一緒に堕ちてろよ
古茶くんは、肯定も否定もせずに、ただただ黙って聞いていた。
こんなこと、誰にも話すつもりじゃなかったのにな。あんなに嫌っていたはずなのに、今いちばん近いのは紛れもなく古茶くんなんだなー、って。……改めて思うと、なんだかとても認めたくないけれど。
「……俺もいい?」
古茶くんは、ひとりごとみたいに、そう言って話し始めた。
俺さ、自慢じゃないけど、人よりちょっと整った容姿を持って生まれたから、昔から周りもそれなりにチヤホヤしてくれてさ。
求められるままに愛嬌振りまいてたら、不仲だった共働きの両親も、俺が間にいるときはカリカリしなくなって、ケンカも丸く収まって。幼心に、自分の顔の使い方がわかったよ。
──俺がこうやって振る舞っていれば、両親は自分から離れていかないんだー、って。とにかく必死だった。
人が離れてくのが怖かったから、人が求める自分になろうとした。それからちっとも成長してねーの、我ながら笑えるけど。