黙って一緒に堕ちてろよ
「……いやぁ、まさかあの人気者の古茶くんがこんな人だとは思わなかったなー」
「俺も真面目な岩倉さんが盗撮するなんて思わなかったなぁ」
あ、やっぱりバレてんだ。適当にすっとぼけるつもりだったのに。
がっちり捕まってしまった今じゃあ、言い逃れは難しいか。あー、めんど。
「つか、いい加減離せ、って!」
振り払おうとしたけれど、思いのほか力が強くて一回目は不発。二回目の抵抗で古茶くんがパッと手を離した。
手首にくっきりと残った赤い手形と爪痕をなでた。屈辱だ。
「ここでいつまでも話してても時間の無駄だよね。俺、時間の浪費って許せないんだぁ。時は金なり、ってね。だから簡潔にいこうか」
子どもに語りかけるように、あくまで物腰柔らかーく話す古茶くん。そのはりついた笑顔が、ふと消えて。
「──写真を消すのとお前が消えるの、どっちがいい?」