黙って一緒に堕ちてろよ
「……ま、安心しなよ。もう写真は消したから」
本性がバレた今、それはあまり意味がなかったかもしれないけれども。少なくとも、写真が出回って火に油をそそぐようなことは起きないから、それを伝える。
よかったね。もうこんなめんどくさい女につきまとわれる心配もなくなるよ。
そんな気持ちを込めて告げると、途端に、よくわからない感情に襲われた。
「……?」
その正体がわからずに、顔をしかめていると。
──パシャッ。
「……。……えっ。はっ!?」
目の前でなにが起こったのかわからなくて、一瞬呆然とする。今のは……シャッター音?
古茶くんは、その音の発生源と思われるスマホをこちらに向けて構えて、にまーっと目を細めていた。
「な、なに、撮った!?なんで!?消せ!!」
ヤダヤダヤダ、今絶対変な顔してた!!
「やなこった」
「仕返しのつもり!?ガキか!!」
古茶くんからスマホを奪おうとして手を伸ばす。けれど、彼が高いところにスマホを掲げるので届かず。リーチがあるって有利だよね、神様は不公平だ。
普段は信じちゃいないくせに、都合がいいときだけ神頼みとか虫がよすぎた。神様は見逃してくれなかったよ、笑っちゃうね。あはは。……嗚呼。
あ──あ。