黙って一緒に堕ちてろよ
「あの頃は岩倉さんのこと、ガチガチの優等生だと思ってたからねー」
あの頃はって。今は違うみたいに聞こえるからやめてくれ。間違ってはいないけれども。やかましいわ。
「裏表ある俺とは対角線上にいる人だって思ったら、ちょっと興味があったっていうか。笑ってるくせに目が死んでるからさ、それ生きてて楽しいの?って」
古茶くんの言葉に、ドキリとした。
うっそ、目ぇ死んでた?優等生としては完璧だったと思ってたのに。私そんなわかりやすいの?うわ、ショックだ。
ってことは、今はよっぽど生き生きしてるんだろうか。えー、それもバレてるとしたらヤダな……。
「……優等生じゃない私は嫌い?」
古茶くんが、優等生だと思ってたから、なんて前置きをするから。じゃあ今はどうなのかって、気になって。
ふと気がつけば、ぽろりとこぼれ落ちていた。一度こぼれたものはもう戻ってはこない。
あー、やっちゃった、完璧やらかした。どうしよう、どう誤魔化そう。私は頭を悩ませる。古茶くんの顔色をうかがおうと、ちらりと横を見ると。
「────最高」
古茶くんは、悪人ヅラをして、パチンと指を鳴らした。