黙って一緒に堕ちてろよ
発せられた低い声に鼓膜がびりびりと振動する。
優等生らしかぬ物騒なセリフが飛び出してきて、目の前の彼は『優等生』じゃないんだな、と再確認させられる。
普段見せない迫力で睨まれ、一瞬ひるむ。けれども、ここで押し負けては負ける、と、私は、
「どっちもお断りだわ」
と、吐き捨てた。
究極の二択、とはまた少し違うかもしれないけれど。それは選べない二択だった。
私だって命は惜しい。けれども、せっかくつかんだネタをみすみす手放すのも惜しい。
「逃がすと思う?」
「まぁ、追いつかれちゃったもんね。確かに力では敵わないかもね」
「……なにが言いたい?」
顔つきが険しくなる。眉間にしわ寄ってるよ?直したほうがいいんじゃない?
私は普段の古茶くんも正直いけ好かないと思ってたからどっちでも同じだけど。
「察しが悪いなぁ。私がなんの考えもなしにただ走り回ってるだけだと思った?」
古茶くんには私がそんな無能に見えてたのかぁ。へーぇ。ショックだなぁ。