黙って一緒に堕ちてろよ

私は右後方を顎で指した。古茶くんの視線が、私からそちらへと流れる。


治安の悪い細道を抜けた先、駅が近くなると、そこには交番があることを私は知っていた。以前、定期を落としてしまったときにお世話になったのではっきりと覚えていた。


つまり古茶くん、君さぁ、まんまと誘導に引っかかってやんの。笑っちゃう。指さして笑ってやりたい。


「私は制服だけどさぁ。古茶くん、今の自分の格好知ってる?どう見ても不良じゃん」


私は、古茶くんの頭から足先へと視線を移す。


スラックスはよく見るとうちの高校の制服だけれど、黒いレザージャケットを制服の上から着ているせいで、一目見ただけではうちの生徒とは気づきにくい。


全体的にモノトーン調で闇に紛れるスタイル。不良ぶってる俺かっこいい的な?厨二病卒業してないのかな?ダッサい。


……どんなに服装がダサくても顔が整ってる人ってなに着ても似合っちゃうんだから、顔がいいって得だとは思う。
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