黙って一緒に堕ちてろよ
人気者ならではの苦悩、と言ったところだろうか。愚痴をもらす古茶くんは、ケッと顔を歪ませた。
「……お前、なんも言わねぇのな」
「え?いやまぁ、そんな奴もいるんだーって、ドン引きはしてるけど」
「そうでなくて……もっとなんか言うかと思った。少なくとも『はん!贅沢な悩みね!上流階級の人間はそんなことで悩める暇があっていいわね!あー嫌だ嫌だ』くらいは言うかと」
「それまさか私の真似じゃないよね……?」
下手くそな女声に寒気を覚える。やめてくれよ。私そんなにナヨナヨしてねぇよ。
「……私でもさー、悩みに優劣つけるのがバカらしいってことくらいわかるつもりでいるんだよね」
「……へー」
自分から聞いてきたくせに気の抜けた返事だ。答えなきゃよかった。