黙って一緒に堕ちてろよ
古茶くんは、手当てをするからと言って、ひざのあたりから破けたタイツを躊躇なくさいた。ひざこぞうがむき出しになる。……この状態、割と恥ずかしい。
公園の水道で、傷をすすぐ。思ったよりも水道から流れる水は冷たくて、風が吹くと、そのたびに水が触れたところの体温が奪われた。
傷の汚れを落とした私は、木製のベンチに座った。公園自体新しくもなく、ベンチは相当ぼろい。ささくれが目立つ。
「そんじゃ、失礼しますよー」
「え」
私に向かい合う形でしゃがんだ古茶くんは、私のひざに触れた。思わず声がもれる。からだがこわばった。
古茶くんは、そんな私にお構いなしで、慣れた手つきで止血してくれる。
そして、なにやらガサゴソとカバンから取り出した。
「……用意周到だね。なんで持ってるの、絆創膏なんて。女子力高い系?」
「え?岩倉さんも見たでしょ?俺しょっちゅうケンカするから、必需品」
「ああ……」
「いや納得すんなよ。冗談に決まってんじゃん」
今日はたまたま持ってただけ、俺そんなにケンカっ早くない、なんてぼやいてたけど、どうだか。