黙って一緒に堕ちてろよ
私は、「んー」と下に向かって伸びをして、それから、彼女たちに向き直った。
「ケンカは相手選んでから売った方がいいよ?」
彼女たちは、まさか優等生の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったのか、一瞬ポカンとした表情をした。
口が開きっぱなしの顔が並んでいるさまはとても間抜けだ。カメラに収めてばらまきたいくらい。
「……っ!やっぱ本性そっちなんじゃん!」
「大人しいふりして古茶くんたぶらかしてんでしょ!」
たぶらかす?私が?あいつを?
……おぇ。想像しただけで鳥肌が立つ。
「誰があんな奴……いくら私でももうちょっと見る目はあるよ」
「なっ」
「バカにしてんの!?」
もともとなけなしの冷静さをついに失ったひとりが、こぶしを振り上げ、私に向かって殴りかかってくる。
こそこそこそこそしているもんだから、直接手を出してくる度胸はないと踏んでいたけれど。
集団心理で気が大きくなっているのか、はたまたただただ単細胞なだけなのか。
どっちにしろお粗末な動き。私の敵じゃない。
『優等生』として次の授業には遅れられないから手短に済ませないと、ね。