黙って一緒に堕ちてろよ

「どこ狙ってんの?」


「えっ」


私はその攻撃をさらりとかわし、ちょん、と軽く背中を押してやる。当たらなかったこぶしは勢いを殺すことができずに、そのままバランスを崩して壁に激突。


みんな呆気に取られている。勉強しかしてないふうに見える真面目ちゃんが、実は運動もできたことに驚いた?


「感情に任せて殴ってくるとかどこの猿ですか?ここって私の知らない間に動物園にでもなってたの?はは、ウケる。でも笑いのセンスは皆無だね、お疲れー」


私はスタミナがないってだけで、運動神経が悪いわけではない。と、思う。むしろ反射神経はいいほうだと思う。


古茶くんは……ちょっと。ヤバい雰囲気だだもれだったから直接対決はしたくなかっただけで。


断じて負けたわけではないのだ。うん。
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