黙って一緒に堕ちてろよ

「中間考査の結果見たよ。すごいね、また一位?」


人当たりのよさそうな、トモダチさんと話していたさっきまでと同じ笑みを浮かべて、そう話しかけてきたのは。──他でもない、古茶蒼唯だった。


「今回はたまたまラッキーだっただけだよ〜」


こんな話をするためだけに私に話しかけてきたの?わざわざトモダチさんとの会話も途中で切り上げて?一昨日来い!


人気者のすることは理解できないね、つくづく。理解しようとも思わないけど。


「古茶くんこそ、定期考査ではいつもトップに入ってるよね?それにみんなの人気者でしょ?すごいなって思ってるよ」


息をするようにうそを吐く。これで何回目だろう。忘れた。もう慣れた。もしかして地獄行き?見逃してくれないかな、神様。嗚呼。


あ──あ。


「岩倉さんに比べたらまだまだだよ」


困ったように首をかしげる王子サマ。一挙一動に女子が黄色い悲鳴をあげてること、気づいてるの?気づいててやってるの?


私にとってはそれ全部うさんくさいだけだよ。天然でも計算でも、小芝居やめていただきたいの。ねぇ。


内心ではそう罵っておきながらも、私もまた、


「ありがとう」


と、にっこりと微笑んでみせるのだ。
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