黙って一緒に堕ちてろよ

「古茶くんがあんなこと言うはずがない……」


「これはきっとなにかの間違いだよ……」


うしろから、現実逃避を図る声がぶつぶつと聞こえてくる。鬼気迫るそれは、まるでお経みたい。


あんたらがやったこともあんたらへの評価も、どんなに祈っても変わんないよ。


大人しく夢から覚めちゃえばいいのに。潔く諦めちゃえば楽だよ、少なくとも偶像を信じ続けるよりは。


「……アレ、ほっといてよかったの?あいつらが言いふらしたりしたら古茶くんのイメージ下がるんじゃない?」


置いてきた彼女たちがなにをするかわからない。ふと心配になって、聞いてみる。すると。


「俺とあいつらと、周りはどっちを信じると思う?あいつらが喚いたところで痛くもかゆくもねぇよ」


古茶くんは、顔色ひとつ変えず、そう吐き捨てた。


「……さいですか」


なんつー自信に満ち満ちた発言。どこから湧いてくるんだ、と問いたい。


しかも、私から見ても事実なのが余計に腹が立つ。
< 70 / 156 >

この作品をシェア

pagetop