黙って一緒に堕ちてろよ

「別に私がどんな格好でも古茶くんは困んないでしょ。古茶くんと出かけるのにどうして着飾る必要が?」


「可愛くねぇ……」


余計なお世話だ。


「私が可愛くなかろうが古茶くんにはなんら関係ない」


こいつの軽口はいつものことのはずなのに、なぜだか無性に腹が立って。私は、古茶くんからふいっと顔を背けた。


……可愛くないのなんか言われなくても知ってる。


「そーゆーとこ見ると、少しは……って、思うんだけど」


「え?」


「いや、こっちの話」


古茶くんがなにかを誤魔化すように、わざとらしく咳き込むものだから、訝しく思って問いただそうとしたけれど。それより先に、古茶くんが口を開いた。


「でも俺がダサい奴連れてるとか我慢できねぇ」


「古茶くんのヤンキースタイルもまあまあダサかったけどね」


「喧嘩売ってんなら買ってやるけど?」


事実を述べただけですが?
< 76 / 156 >

この作品をシェア

pagetop