黙って一緒に堕ちてろよ
「大体、そのダッサい眼鏡はなに。髪も学校と同じだし」
古茶くんにダメ出しされる筋合いはない。ムッとして、言い返す。
「……『優等生』の一部だよ。わざとらしいくらいがちょうどいいから」
私は普段眼鏡をかけているけれど、特別視力が悪いわけではない。むしろいいほうで、眼鏡は度なしのお飾りだ。
邪魔くさいのに外さないのは、その小さく透明な壁が、私を守ってくれるように感じたから。
古茶くんは、首を傾げてから、「それさぁ」と口を開いた。
「学校じゃないんだから優等生である必要もなくね?」
「え?……あ」
古茶くんの指摘は、目からウロコだった。言われてみれば確かに。
窮屈な教室の外で、わざわざ自分で自分をしばる必要はない。
……でもオシャレに興味がないことは変わらない。古茶くんの目にどう映っているかとか、どうでもいい。……どうでも、いい!