黙って一緒に堕ちてろよ

「大体、そのダッサい眼鏡はなに。髪も学校と同じだし」


古茶くんにダメ出しされる筋合いはない。ムッとして、言い返す。


「……『優等生』の一部だよ。わざとらしいくらいがちょうどいいから」


私は普段眼鏡をかけているけれど、特別視力が悪いわけではない。むしろいいほうで、眼鏡は度なしのお飾りだ。


邪魔くさいのに外さないのは、その小さく透明な壁が、私を守ってくれるように感じたから。


古茶くんは、首を傾げてから、「それさぁ」と口を開いた。


「学校じゃないんだから優等生である必要もなくね?」


「え?……あ」


古茶くんの指摘は、目からウロコだった。言われてみれば確かに。


窮屈な教室の外で、わざわざ自分で自分をしばる必要はない。


……でもオシャレに興味がないことは変わらない。古茶くんの目にどう映っているかとか、どうでもいい。……どうでも、いい!
< 77 / 156 >

この作品をシェア

pagetop