黙って一緒に堕ちてろよ
「いつもは制服のスカート効果で気づいてなかったけどさ。それ、ちょっと取って。髪もほどいてみ」
「あっ」
古茶くんは両手を伸ばし、止める間もなく私に触れる。彼はそのままひょいっと、右手で私から眼鏡を取り上げ、左手で私の髪に触れた。
髪ゴムを弾かれて、ほどけた髪がさらりと揺れる。
「──お前、ウルフだったのかよ」
彼は、唖然として、そうこぼした。
古茶くんが言っているのは、私の、下で結べるくらいの長さのウルフカット。学校ではまず髪を下ろすことはないから、古茶くんが見るのははじめてだ。もともと見せる気もなかったけれど。
優等生らしかぬ髪型、とでも言いたいのだろうか。お言葉だけど、そんなこと言ったら古茶くんのピアスだってそうだと思う。