黙って一緒に堕ちてろよ
「俺さ、ずっと岩倉さんと仲良くなりたいって思ってたんだよね」
──は?
思わず口に出してしまいそうになって、慌てて下唇を噛む。
なに言ってんだこいつ。え、マジで。唐突に、なに?
呆気に取られて反撃できない。意味不明すぎて。意図が読めない。なにを考えているのか。そう思うことなんかしょっちゅうあるけれど。
「そ、れは。クラスの人気者にそう言ってもらえるなんて嬉しいな」
のどに言葉がつっかえて、少しどもってしまった。ちょっと失敗した。チッ。
「きっかけがないかな、って思ってて。これからもっと話せるといいな」
「──。こちらこそ。ぜひよろしくね」
野次馬を背景とした、嬉しくないツーショット。クラスメートの目には、古茶くんが、地味女にも優しい素敵な王子サマ、にでも見えてんのかな。はーぁ。
ここだけ切り取ると立派に善人みたいだもんね。でも、それでも彼が聖人君子なはずがなかった。
だって、居心地悪くてたまらないから。最初から、そういうところも含めて、大嫌いだったから。
私は、彼のことが、
────大嫌い、だ。