君が呼ぶから帰ってきたよ
早く伝えたい。


凄かった、かっこよかった。


そしてありがとう、こんな素敵な康太を見せてくれてありがとうと伝えたい。


走っていくと、応援団のみんなが抱き合って成功を喜んでいた。


その中には康太もいた。


「こう…」


康太を呼ぼうとして私はそれをやめる。


いや、やめたんじゃない。


声が出なかったんだ。


康太が本当に嬉しそうに笑っていたから。


「美春!どうしたの、急に走って…って泣いてるの?」


私は気づくと涙を流していた。


「真穂…康太が笑ってる…今までの悲しそうな笑い方でも作ってる顔でもない。本当に心から笑ってる。嬉しい…やっと…」


真穂はその言葉を聞いて優しく私に笑いかける。


「良かったね、美春。」


私は何度もうんうんと頷いた。


康太はそんな私を見ると最初は驚いた顔をしたがすぐに悲しい涙じゃないと分かると思いっきり笑ってピースをした。


私も負けじと自分の思う思いっきりの笑顔でピースを返した。


康太、やっと笑ってくれた。


その笑顔ずっと忘れないで。


あなたのその笑顔は誰より素晴らしいんだよ。
< 107 / 131 >

この作品をシェア

pagetop