君が呼ぶから帰ってきたよ
でも会ったところで消えてしまう私をまた康太は見ないといけなくなる。


それは嫌だった。


なのに、会いたくなるのはわがままなんだろうか…


「康太、康太、こうたぁー」


「なんだよ聞こえてるよ。」


後ろから声が聞こえてゆっくり振り向く。


そこには体操服に着替えている康太が。


「え?なんで?私言わずに来たのに…」


「真穂から聞いた。美春、消えるって泣きながら俺に言ってきた。」


「そっか…よく私がここだって分かったね。」


「美春がいなくなった時は絶対ここって決まってるんだよ。約束しただろ。小さい頃、例えお前がいなくなっても俺が必ず迎えに行くって。」


小さい頃…私が病気だとわかった日に家を飛び出しここに来た。


その時、康太は言ったんだ。


"何度美春がいなくなっても俺が迎えに行ってやる。だから美春は心配せず待っとけ"って。


その言葉は全然嘘じゃなくて康太はそれから私が治療が嫌で逃げた時も悲しくて泣くための場所を探して病院を飛び出した時も必ず見つけてくれた。
< 112 / 131 >

この作品をシェア

pagetop