君が呼ぶから帰ってきたよ
「おい、起きろ、美春!」
康太のちょっと怒った声が聞こえて飛び起きる。
「びっくりしたぁ…あれ…私…」
なんで康太がいるんだっけ…
あ、そっか。
私、幽霊として帰ってきたのか。
「朝か…今日晴れてるね。」
窓の外を見ると、青空が広がっていて雲がひとつもなかった。
清々しい朝とはこういう朝を言うのだろうなぁ。
「あのさぁ、天気に浸ってるとこ悪いんだけど学校遅れそうなんだけど!」
学校?
あぁ!そうだ!
壁にかけられている時計を見れば8時15分。
「やばいよ、ここから学校まで30分はかかるよ!?」
「だから、起こしてんじゃん!行くぞ!」
バタバタと急いで康太の後ろをついて行く。
康太は自転車に乗って"ん。"と言う。
「え?まさか後ろに乗れってこと?」
「それしかねぇだろ。お前幽霊だけど飛べるわけじゃねぇんだろ。昨日も走って俺のところ来たみたいだし。」
「そうだけど…自転車の後ろなんて乗ったことない…」
乗ったことないし、康太の後ろに乗るなんて…
ドキドキして身が持たない。
「早く乗れって。俺が遅刻するから!」