君が呼ぶから帰ってきたよ
ぼーっと教室の風景を眺めていると先生が入ってきた。


クラスメイト達は先生の姿を見るとパタパタと急いで席に着く。


簡単なホームルームの時間だ。


懐かしいなぁ、いっつも先生の話早く終わらないかなって思ってたんだよね。


それから…


ちらっと康太を見る。


私の席は窓際の1番後ろの席だった。


康太は右斜め前だったからずっと先生見てるふりして康太見てたんだよね…実は。


思い出しながら小さく笑うとふと視線を感じた。


その方向を見ると、1人の女子が。


あれは…真穂だ。


竹中真穂(たけなかまほ)。


彼女は私と生前仲良くしてくれた。


私が入院してる病院にも見舞いに沢山来てくれた。


康太と同様、感謝してもしきれない人の中のひとりだ。


真穂…なんでこっち見てるんだろう?


まるで…


私が見えてるみたいな…



じーっと私を見てるように感じる。
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