君が呼ぶから帰ってきたよ
私はそれを見ていてなんとも言えない気持ちになった。


胸がきゅーっと締め付けられるような痛み。


いつの間にか私の頬には涙が流れていた。


康太はそんな私を見て静かに笑って何も言わない。


私は今日、久しぶりに学校に来て思った。


私がいた事をみんなは忘れているんだと。


ここにはもう私はいなくて、"いた事"も消えて…


思い出にすらなれていなかったんだって。


私は病気のこともあってまともな高校生活を送れていなかった。


行事ごとは、体の負担を考えながらしていたし休むことも多かった。


部活動も体調の変化が激しいため、病院の先生から止められて出来なくて…


我慢だらけの高校生活だった。


でも、それでも大丈夫だった。


クラスメイトと過ごせるなら、なんでも我慢できた。


短い人生、クラスメイトと過ごせて大切な人と思い出ができるのならば。


だけど、今日思い出が消えてしまったように感じで心に寂しいという感情が生まれた。


病気さえなければ…


そう思った。



なんで私だけが…ここにいないんだろうって…


今まで過ごしてきたクラスメイトとの時間は全て無駄だったのかとも思った。


だけど、そうじゃなかった。
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