君が呼ぶから帰ってきたよ
それが私に出来る最後のことだと思う。


「そっか…美春の気持ちは分かったよ。康太もだけどホント二人はお互いの事思いやりすぎでしょ。」


真穂は私をみて呆れ顔だ。


「そんなことないよ。私はただ自分のためにやってるんだよ。」


私がそう答えると真穂は大きくため息をついた。


そして、私に近づきデコピンをした。


もちろん私は幽霊だから真穂の指は私にあたることはない。


私を通り抜け空気を切る形になるだけだ。


それを見た真穂は口を尖らせた。


「惚気聞かされたからデコピンくらいしてあげようと思ったのにあたんないじゃん!」


私が幽霊であり生きてない事が改めて感じて悲しい顔や戸惑いを見せるわけでもなく真穂は拗ねていた。


私にとってその反応は珍しく、新鮮に感じて思わず笑みがこぼれる。


その私の顔を見た真穂は窓の外に目を向けて言った。
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