君が呼ぶから帰ってきたよ
8.ぬくもり
私の家族は物心ついた時からお母さんだけだった。


小さい頃、1度だけお母さんに聞いた事がある。


私のお父さんはどこにいるの?と。


その時お母さんは泣きそうな切なそうな笑顔をうかべた。


そして私を無言で抱きしめたんだ。


あの日、私は思った。


お父さんのことは聞いたらダメなんだ。


きっとお父さんは悪い人だったんだろう。


写真もない、話もしない。


それは私のお父さんがお母さんにとって"話せない事情を持ってる人"を意味しているほかなかった。
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