君が呼ぶから帰ってきたよ
康太が引っ越してきた5歳の時から変わらない。


私が病気になった時もそばにいてくれて、私が元気になった時も心配してて…


ちょっと走っただけで怒られたりしたなぁ。


康太って過保護だったよなあ。


でも、そうやって構って貰うのが嬉しかったりしたのも事実。


小さい頃からそばにいた康太は私にとって気づけば居なきゃダメな存在になって…


初恋相手になった。


私にとって康太は幼なじみであり、最初で最後に大好きだった人。


結局、早くに死んでしまう私が思い伝えるも気が引けて告白は出来なかったんだけど。


それでも、最後まで好きな人のそばにいれたから満足している。


せっかく、ここに戻って来れたのだから会いたいのは山々だけど会うのが怖いのもまた事実。


会っても、お母さんみたいに見えないとしたら康太から無視されるような感覚になる。


私がどんなに声掛けても康太には聞こえないってことだもんね。


それはやっぱり辛いし、悲しい。


康太は私が声をかけると決まってどうした?と振り返ってくれていた。


何?とかではなく、どうした?と聞くのが康太でそういう言葉が出てくる康太が好きだった。


いや、今も好き。


「康太…会いたいけど…」


私はベッドに座り葛藤した。


会う?


会わない?


でも、会わなかったら私なんのためにここにいるか分からないよね。


思いが届いて欲しい。


そう強く願ってここに戻って来た。


だから、できることはあるはずなんだ。
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