君が呼ぶから帰ってきたよ
私は拳をぎゅっと握りしめ、自分の部屋を出る。


そして、玄関のドアを通り抜けて隣の康太の家へ向かった。


康太の家の玄関まで行き、ドアの前で立ち止まる。


これ、通り抜けていいものなんだろうか…


幽霊だからいいけど普通不法侵入だよね…


ごめん、康太!


少し罪悪感を抱きながらドアを通り抜ける。


すると、目の前に小さな犬が座ってこちらを見ていた。


康太が飼っている柴犬のプリンだ。


名ずけた理由は、その時康太が食べていたのがプリンだったから。


名前の付け方が適当過ぎてびっくりしたのを覚えている。


「プリン!久しぶりだね〜って、見えないんだっけ?」


幽霊だっていうこと忘れてた。


ちょっとがっくりしながらプリンの横を通り抜けようとすると、プリンがくぅーんと鳴いた。


驚いてプリンを見るとこちらを見てしっぽを振っている。


「え、プリン分かるの?見えるの?私が」


すると、またくぅーんと鳴いた。


犬には見えるってこと?


この世に帰ってきて初めて認識して貰えた嬉しさにプリンに触れようとする。
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