君が呼ぶから帰ってきたよ
ずっと悪い人だったかもと思っていた。


だけどこんな優しい笑顔をする人だったんだ。


良かった、この人がお父さんで。


「そうそう、美春って名前をつけたのもお父さんなのよ。」


「えー、そうなんですか。どういう思いでつけたんですか?」


それは私も聞いたことない話だ。


「美しい心で春の季節のように人々の暖かい存在でありますようにって意味らしいわよ。凄くいい名前よね〜」


私の"美春"にそんな意味があるなんて…


私、名前負けしてないかな…


心配になる。


「美春、ぴったりですよね。その名前の意味に。綺麗な心で俺たちを春のようにあたたかく包み込んでくれてた。…今も。」


康太は私を見ながらそう言う。


「そうなの、美春は名前通りいい子に育ってくれたわ。親バカだと思うけど美春は良い子だった。」


そう言ってお母さんは優しく笑った。
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