君が呼ぶから帰ってきたよ
わんわん泣く私を真穂は優しく抱きしめて包んだ。


触れられないはずなのにしっかり抱きしめられている感覚があった。


「美春、もう我慢しなくていい。私の前では泣いていい、大丈夫全部受け止めるよ。」


背中をさすってくれていると気づいたのは私の背中がじんわりとしたあたたかさを感じだからだ。


「懐かしい…真穂いつも退院して学校来たらこうやって抱きしめてくれたよね。」


「え?そうだったっけ?嬉しくて飛びついてたからこんなんじゃなかったと思うけど。」


私は静かに目を閉じる。


こんなに人前で泣いたのはいつぶりだろう。


病気が分かって康太に泣いていいと言われて泣いた時以来じゃないかな?


いつの間にかみんなの前で泣くのは避けていた。


なんでだっけ…?
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