君が呼ぶから帰ってきたよ
心配かけたくないから?


迷惑かけたくなかったから?


ううん。どれも違う。


本当はいつでも思い出す私が笑顔であって欲しかったから。


みんなといる時間は笑っている私でありたかったから。


康太、あなたには特に笑ってる私を覚えてて欲しかったんだ。


大好きだから。


大好きだから泣いてる姿より笑ってる私を覚えてて欲しかった。


これは今でも同じ。


康太、ごめん。


どうか最後まで強がる私でいさせてください。


こんな嫉妬で弱音を吐く私なんて見られたくない。


だから、一生康太に知られませんように。


康太が知らないままであるように私はこの姿が消えるまで笑顔でいるよ。


「真穂、もう大丈夫。ありがとう。」


すびすび鼻をすすりながらゆっくり真穂から体を離す。


「そう?それなら良いけど…しばらくして康太のところに行った方がいいね。」


真穂がそう言う理由はきっと私の顔が泣きすぎて酷い状態だからだろう。


康太に知られたくないのにこんな顔で今会ったらきっと泣いたことが即バレる。
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