ハッピーエンダー
「聞いたけど?」
トイレも終わり、母親の前に座った。ピンクの、バスガイドみたいなダサいミニスカートに着替えていた。こんな服買ってくるなんて、目が腐ってる。
はやくバイト終わりの、汗だくになって白いTシャツに短いズボンを履いた光莉に会いたい。
「その客さ、なんでアタシにそんな金くれんのって聞いたら、別れた嫁に似てんだって言ってて。社長は三回目の結婚で、元嫁も結婚二回目だったらしいんだけど」
意味わかんねぇ。
「はあ。そう」
「でもなんでそんな嫁のこと好きなら別れたんだって思うじゃん。聞いたらヤベーの。オッサン、本命はその元嫁の連れ子だったんだって! 十八の! 嫁にそっくりだから嫁抱いて我慢してたんだけど、ついに連れ子の方に手ぇ出しちまって、嫁は連れ子と出てったって」
アゴが外れてんのかってくらいデカい口を空けて、母親は転げ回って笑った。頭がおかしい。俺は同調するふりをして、「へえ」と笑った。