ハッピーエンダー
「んでさ、オッサン、嫁に似たアタシには十万だけど、連れ子に似たやつと寝んなら一千万出せるって言ってて」
「すげぇな」
「あ、連れ子って男なんだけどね。十八の」
俺は嫌な予感がして、引き上がった口角が戻らなくなった。
「水樹の写真見せたら、似てるって。ヤれない? 一千万もあればルイくんナンバー入りできるからさぁ」
悪寒が全身を駆け巡り、尋常じゃない動悸に襲われた。
糞が。この女は何回言えばわかるんだ。俺にセックスの話をするな。俺に勧めた相手がオッサンだっていうのは驚いていない。この汚い界隈にはそういう豚がいくらでもあふれている。そんなことより、テメェと寝た客を俺に寄越すな。
「いいじゃん水樹。ひとりで相手すんのキツかったら、アタシも手伝うからさ」
ガシャン、と音が鳴った。俺の足が母親の化粧台を蹴り飛ばしていた。