ハッピーエンダー

「ホスト連れ込んで寝てる。あんな家俺もさっさと出たいけど、あの人、髪が明るい男が家にいなきゃ落ち着かないんだ。ホストが来ない日は俺がいないと発狂する」

彼は自分の髪をいじりながらそう言った。詳しく聞かなくても、彼の家は母子家庭だとわかった。

「水樹さんは家にホストが来る日は、どこかに泊めてもらってるってことですか」

「そう。泊まって、飯ももらう。いつも見返りに抱いてくれって言われるんだけど、今日は言われなくて助かった。気分悪すぎて、できないから」

水樹さんの感謝が混じった視線に、私はキッと目をつり上げる。事情があるのはわかった。だから私はこの人を責めたりしないけど、自分のスタンスは変わらない。

「私は大嫌いなので。セックスしたことありません」

すると彼は私を好奇心旺盛な目つきで見て、

「奇遇だな。おれも大っ嫌い」

と、うなずいた。
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