ハッピーエンダー
「まあ、セックスなしで付き合ってくれる男はいないから、恋人なんていないだろうけど。でも決めつけたら可哀想だと思って」
「失礼ですねっ。そのとおりですっ」
「俺が卒業したら、いつか見つかるといいな、そういう男」
爽やかにそう言った彼に戸惑い、なにも答えられなくなった。彼が私に恋人ができることを望んでいるなんてショックだった。私はこの暮らしを終わりにしたくない。それは水樹さんも同じ気持ちだと思っていたのに。
「……いませんよ、どこ探しても」
「いるさ。少なくとも俺は、光莉のこと綺麗だしかわいいと思ってるよ。そばにいたら満たされる。たぶんセックスしても、しなくても」
「え」
彼の前髪をなでる手を止めた。それって、どういう意味だろう。きっと同じ気持ちだ。私も水樹さんなら、いい。ずっと一緒にいられる。もっと言えば、セックスは大嫌いだけど、もしかしたら水樹さんとはできるかもしれない。